2025.10.15
NEWS
会社負担で資格取得させた従業員がすぐ退職したら費用は請求できる?
質問:
従業員に『大型免許』を取得させ、会社でその費用を負担しました。
しかし、その従業員が資格取得後、すぐに退職してしまいました。
当社の業務で活用してもらうための資格助成なので、辞めるのであれば、取得費用を請求したいと思うのですが、退職した従業員に請求することはできるのでしょうか?
結論:
会社命令での資格取得や業務で使うための資格取得にかかる費用などを、退職したときに返還させる契約は、労働基準法第16条に違反して無効となります。
しかし、取得費用の貸付という形にし、一定期間勤務すれば返済免除という形にすれば返還させることも可能ですが、場合によっては、労働基準法違反になることもあるので注意が必要です。
◆退職時の費用請求は 違法となる場合あり
労働基準法第16条で、『労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約』を締結することを禁止しています。
そのた め、あらかじめ退職者から費用の返還を求める契約を行うことは違法となります。
ただし、合理的な範囲の実費の返還請求は可能とされる場合があります。
客観的・合理的に算定された範囲での実費の返還を、合理的な方法で求める制度などでは、違法とならないとしており、業務に直接掛防連しな いものや返済方法が労働契約の継続を不当に強要するものではないような場合とされています。
◆資格取得の費用負担ではなく貸付返還で行う際の注意点は?
資格取得費用の貸付返還合意が有効になるためには、誓約書などで、一定の期間内に退職する場合は要した費用をただちに返還するという内容の個別の合意をしていれば、合意の有効性が認められやすくなります。
また、その資格取得が
①業務性があるか
②労働者の自由意思に基づき応募で きるものか
③留学・研修などによって労働者が 個人的利益を受けるか
④返還金額は高額でないか
⑤返還免除の条件となる就労期間は合理的な 期間といえるか
といった要素をすべて満たしていると有効性が認められやすくなります。
ご不明点等ございましたら何なりとご連絡ください。
ひまわり社会保険労務士法人
