2025.04.08
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転勤命令に従わない従業員を処分や解雇にできるの?
質問:トラブルの多い社員がおり、適性などを考慮したうえで配置転換として、支社へ転勤させようと思っています。しかし、転勤命令を出したものの、理由を明確にはいうことなく、単に異動したくないとの理由で転勤を拒否してきました。こういった場合、処分や解雇はできるのでしょうか?
結論:転勤命令の拒否は、就業規則などで転勤に応じる義務が定められている場合、原則として就業規則違反と見なされ懲戒処分や解雇の理由となる可能性があります。ただし、転勤を命じる必要性がない、あるいは転勤による労働者の不利益が著しいなどといったときには、転勤命令が違法とされることもあります。
〇転勤拒否に対する懲戒処分が有効となる考え方とは?
就業規則などに明記されている場合、従業員は原則として、家族から離れて単身赴任となることや、通勤時間の増加、育児への影響といった個人的な理由で転勤命令を拒否することは困難とされています。
また、従業員が個人的な理由で転勤命令を拒否したことによる解雇理由として認められる傾向があります。しかし、転動命令が濫用された場合などで転勤命令の拒否による処分や解雇が違法となる可能性もあります。
〇会社からの転勤命令が違法となる場合とは?
当然、会社が意に沿わない従業員を退職させる目的で遠隔地への転勤を命じるということは許されません。また、転勤により育児や介護などに支障が出ることがわかっており、その支障の程度が特に大きく、転勤が困難な事情があるとされる場合にも例外的に転勤命令を違法と判断したケースがあります。転勤が従業員本人の病気に悪影響を与える場合も、転勤命令を違法とするケースがあります。企業側も従業員の活動に際して事前の通知や説明を十分に行い、従業員の納得を得るための努力を怠らないことが求められます。