2026.03.04
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マイカー通勤手当の非課税額の見直しについて
令和8年度税制改正において、事業者が使用人等に支給するマイカー通勤手当に係る非課税限度額の引上げ措置が講じられました。
昨今の急激な物価高やエネルギーコスト増への対応がその趣旨であるところ、事業者においては通勤手当支給に関する社内規定を見直す契機にもなるため、給与計算担当者等の皆様方のお役に立つことができれば幸いです。
◆マイカー通勤手当の非課税額の見直し
令和8年度税制改正において、新たに、片道65km以上の自動車等に係る通勤手当について、その非課税限度額が引き上げられることが明らかになりました。
例えば、通勤距離が「片道65km以上75km未満」の場合は、1月当たりの非課税限度額は45,700円(現行) 38,700円)となります。また、一定の要件を満たす駐車場等の利用がある場合には、その通勤距離の区分に応じた非課税限度額に1月当たりの駐車場等の料金相当額 (5,000円が上限)を加算した金額が、新たな非課税限度額となります。
以下、こうした改正の詳細を述べていきます。
〇使用人等に支給する通勤手当の非課税制度の概要
役員や従業員が会社へ通勤するために、電車やバスなどの交通機関を利用したり、自家用車などを使用したりすることで発生する費用に充てるための金額を、通常の給与に加算して支給するのが通勤手当です。この通勤手当については、通常必要であると認められる範囲で、一定の限度額までは所得税が課税されません。
この場合の、通常必要と認められる限度額 というのは、下記のように所得税法等で定められています。
【通勤手当の非課税限度額】
①電車やバスなどの交通機関のみを利用している場合:
通勤のための運賃、時間、距離などの事情から判断して最も経済的かつ合理的な経路とその方法から通勤した場合の1カ月間の通勤定期券の金額。
②自家用車や自転車で通勤する場合:
片道の通勤距離に応じた限度額が定められている。
③電車やバスのほかに自家用車なども併せて利用している場合:
①の通勤定期券の額に③の自家用車などを利用して最寄り駅に行くまでの片道の距離により計算した金額の合計額。
※なお、上記①と③の場合、1ヵ月当たり15万円が非課税の最高限度額とされています。
【実務対応の留意点 (給与計算の設例と ポイント)】
★質問1:当社では、令和8年度税制改正の内容通りに税制改正法が成立することを前提に、自動車等で通勤している人に支給する通勤手当の規定を、税法の内容通りに改定する予定です。
改定後の通勤手当の規定に即して給与計算を行う際に、注意する点はありますか。
➡回答:まずは、今般の税制改正法に基づく規定変更の影響を受ける対象者を正確に抽出することが重要になります。具体的には、以下の条件に当てはまる使用人等に対する給与計算に影響が生じます。
① マイカー・自転車等で通勤をしている(片道65km以上)
② 通勤距離にかかわらず、通勤の際に自らの負担で外部の駐車場を利用している
★質問2:今回の改正が令和8年4月1日以後の通勤手当額の支給分に適用されることを前提としたうえで、令和8年4月10日に令和8 年3月分の通勤手当を支給(給与規定に従って支給)した場合、この通勤手当については、改正後の非課税限度額が適用されますか。
➡回答:改正後の非課税限度額は、令和8年4月1日以後に支払われるべき通勤手当について適用されます。
ここで「令和8年4月1日以後に支払われるべき通勤手当」とは、それぞれ次に掲げる日が令和8年4月1日以後のものをいうと解します。
1) 契約または慣習等により支給日が定められているものについてはその支給日、その日が定められていないものについてはその支給を受けた日
2) 給与規程の改訂が既往に通って実施されたため既往の期間に対応して支払われる新旧通勤手当の差額に相当する通勤手当(令和8年4月1日前に支払われるべ き通勤手当の差額として追加支給するものを除く)で、その支給日が定められているものについてはその支給日、その日が 定められていないものについてはその改訂の効力が生じた日
そこで、お尋ねの通勤手当については、令和8年4月10日が支給日であり、「令和8年4月1日以後に支払われるべき通勤手当」に該当しますので、改正後の非課税限度額が適用されます。
★質問3:今般の税制改正の成立の見込みを受けて、関与先B社では、通勤手段として自動車等を利用している使用人等について、通勤の際にその者の負担で外部の駐車場を利用している場合、令和8年4月から1ヵ月当たり5,000円を上限に、新たに駐車場等使用料相当額を加算して通勤手当で支給することとしています。かかる駐車場等使用料相当額の手当支給に際しての実務上のポイ ントを教えてください。
➡回答:国税庁からの情報(いわゆるQ&A方式によるもの等)が待たれるところですが、以下の点がポイントになるものと予想されます。
① 証拠書類の提出
実費支給との性格上、後日の税務調査において、駐車場の賃貸借契約書や領収書などの提出が求められる可能性が高いです。
②通勤経路の妥当性
「自宅の近くで借りている駐車場」ではなく、原則として「勤務先の近く」や「パーク アンドライド(自宅や勤務先の最寄り駅近くの駐車場)」での利用が想定されると思われます。
以上、ご参考になれば幸いです。
ご不明点等がございましたら何なりとご連絡ください。
ひまわり社会保険労務士法人
